第35章 第三十四章
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どのくらい時間が経ったのかな。
時計を見たらほんの数分なんだろうけど、私にはとても長く感じる。
「あー……やっぱ無理だ。ダメダメ、もういいよ」
「ん?」
何をしようとしてたんだろう?
不思議に思って目をぱちくりしてしまう。
「アンタのその間抜け面をちょっと拝みたくなっただけ、ご馳走様です」
「は?はぁ!?間抜け面って失礼なっ、こっちは何をされるか気が気じゃなかったのに」
もしかして一松も会えた事が嬉しくてじっと見てたとか?
いや〜、でも相手は一松だよ?そんな事ないよね、ないない。自分で言っておいてなんだけど。
なんて言いながら苦笑してしまう私を前に一松が一歩進んで私の顔を見る。
「なに笑ってんの、変なやつ。……行かないの?」
「い、行く行く!歩くの早いって、待ってよ」
変って言うけど変なのは一松じゃん、ったく……まぁ、でもいっか!
仲間になってくれるって事だもんね、この流れは。
スタスタと先に行ってしまう一松を慌てて追いかけて私も隣を歩いて横目に一松を見ると、頬が少し赤く感じた。
余計な事を言うとまた面倒臭い事になりそうなのでそこは黙ってついていく事にしたのだった。
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