第35章 第三十四章
・
・
・
天井からツボが落ちて来なくなって館の中が静かになると、攻撃を終えた一松がゆっくり歩いてくる。
なんだかものすごーーーく久しぶりな感覚だ。
ん?久しぶりなのかな。久しぶりだよ、うん!
「一松!やっと見つけ……いや、待て、本当に一松?」
「は?」
ついさっき人に化けるスライムに襲われたばかりなのだ、いくら相手が探していた一松でも、もしかして一松に化けているだけのモンスターかもしれない。
「もし本当に一松なら証拠が欲しいんだけど……」
とは言っても、一松の証拠って一体なんだろう。
不吉?闇属性?生きる気力もない燃えないゴミ?そんな感じで判断すればいいのだろうか。
私がマジマジと一松を下から上まで見ると、一松は動く事なくいつもの瞼半分の顔で止まっている。
「俺の証拠? そんなものないよ、だって生きてるだけでもただの燃えないゴミなんだから」
お、燃えないゴミアピールしてる。
これは本物って事で大丈夫かな?
燃えないゴミアピールだけで判断するのもどうかと思うけど、まじまじ見てる私とも長く目を合わせないで視線逸らすし、見ている私をウザったそうにしてるし。
「あ!そうだ、うちの猫の名前わかる?」
「ミケ子の事?」
「そう!!あー、良かった。ちゃんと本人だ~っ」
と、ちょっと待てよ?
一松がミケ子の事を知っている、そして私と普通に会話をしている。
「い、一松……私が誰かわかるの?!」
「わかるって言うか、腐れ縁みたいな長い付き合いなんだし逆に忘れたくても忘れられないでしょ。逆に何言ってんの?」
だってこのゲーム世界に入ってからの六つ子って十四松を除いて皆私の事呪いで忘れちゃってたでしょ。