第34章 第三十三章
いくら下っ端の下っ端と言われても、魔王の部下と言われれば倒せるのも嬉しくなるなぁ。
スライムが消えていくと、頑なに開かなかった扉が自然と開いていく。
「なるほど、下っ端だけど部屋のボスだったって事かな?」
警戒しながら扉から廊下を覗くと、特に何か変わった様子はない。
だが私はさっき落とし穴にハマって底に落ちてしまったのだ。
また同じように落とし穴に落ちてしまわないよう、床には注意して行こうと歩き出す。
━━━━━━━━━━ガチャン
「わぁ!なに?ツボーーー?」
━━━━━━━━━━ガチャン
「なんで」
━━━━━━━━━━ガチャン
「天井からっ」
━━━━━━━━━━ガチャン
「ツボがっ!!」
床に注意していた私だけど、今度は天井にも注意しなくてはならないらしい。
床に落とし穴があったり天井からツボが降ってきたりと、なんなのこの屋敷は、カラクリ屋敷なの?
館の中を調べるどころか私、館に遊ばれてない?!
避けるのに精一杯だけどだんだんと上から落ちて来るツボの数が増えてくる。
「ぎゃあああ、なんっなんだよこのツボはああああぁ」
やばい、当たる!!なんて思った瞬間……今日一番のフラグが立ったんじゃないだろうか。
━━━━━━━━━━ヒュン……ヒュン、ヒュン
━━━━━━━━━━ガチャ――――ン
一生懸命に落ちて来るツボを避けていた私の体力が尽きそうになったその時、背後から何本かの矢が飛んできた。
それは私の身体を攻撃するんじゃなくって、ツボを順々に粉々にしていってくれている。
避けているだけじゃなく多少余裕が出来た私もハリセンで加勢しようと上を向いてツボを待ってみるけど、頭の上に降ってくるものを打つって結構大変なのね……あたらんわぁ。
逆に怪我をしそうになったので、ツボが降って来なそうな死角を見つけて今のうちにとそこに逃げると、やっと私を助けてくれた人の顔が確認出来る。
その姿にたまらず大きな声をだしてしまった。
「あーーーーーーーーー!! 一松ううううううぅう!」
「…………」