第34章 第三十三章
【勇者一行は ヨリミチの村 を 後にした】
って事で~なんて軽い感じでクエストを始めてしまったけど、そんな簡単にやるものじゃなかったかもしれない。
館までの道中、ザコなモンスターを倒しながら順調にここまで辿りついた私達ではあったけど、館を前にして突然よくわからない衝動に駆られてしまう。
気を許すなって言われてたけど、抗えないような心の吸引力。
「なんかこう……なんかこう!!惹きつけられる」
「そう、わかるんだ!この館が俺を呼んでいる事がな」
「誰かわからないけど、呼ばれてる気がするね」
「よくわかんないけど皆で行っちゃえば怖くないんじゃない?」
駄目だ駄目だとわかっていても、¨籠りの館¨の前に来た途端入りたくて仕方ないと誘惑に襲われている私達。
おそ松、カラ松、チョロ松、トド松と順々に同じ事を言っている。
「皆、気持ちはわかるけど曰くつきの館なんだし勝手に離れないでよ?」
さっき別行動して後悔したばかりだし、はぐれないようにしないと。
外観は見るからに普通の館で、特にモンスターとかゴーストとかが出そうな館には見えない。
どちらかと言えば綺麗で、お金持ちの人が住んでそうなイメージ。
いくら噂が不吉でも、一松を探さなければという目的がある。
入りたいって気持ちも嘘じゃないけど気は引き締めていかなきゃ。