第33章 第三十二話
「まいど!で、さっきの話だが、ほんの数日前としか言いようがねぇな」
「は?15000G払って情報それだけ?!ぼったくりじゃんっ」
「いやいや、女装兄ちゃんまだ話には続きがある」
ちなみに女装兄ちゃんはトド松の事ね。
私も今の情報だけなら同じくぼったくりだって喚く所だったよ。
焦っちゃ駄目だね、ちゃんと聞かないと。
「旅人に聞かれた質問には知らないと答えたよ、その時アンタ達の事は本当に知らなかったしな。その後どこに行ったのかは……あぁ、そういえばこの世界には猫が集まる場所はないのかって聞かれて、¨籠りの館¨の話をしたな……あそこは不吉な噂もあるが野良猫もよく集まるらしいから」
この情報で安いと思うか高いと思うかは人によるけど、私的には有力な情報を得られた気がする。
猫、という事はもしかしてもしかしなくても人生終わってる感じの闇系オーラを放つ一松の姿しか浮かんでこない。
「野良猫の場所を聞くあたり、一松兄さんくらいしか考えられなくない?」
「ああ、この世界に来ても猫を求めるのは一松くらいなもんだよね。問題は¨籠りの館¨の方だけど……」
チョロ松が口籠るのもわかる、だって賭博場でその話を聞いたばっかりだし。
しかも帰ってきた者はいないだとか、独り身の人が惹きつけられるとか。
もし一松がそこに行ってたら館に惹きつけられて出られなくなってる可能性だってある。
「どーせ避けて通れないって言われてたんだし、いいんじゃね? 行こうぜ、籠りの館」
なんだかおそ松がちょっと面白そうなものに挑戦するみたいになってるけど、みんな今力が本調子じゃない事ちゃんとわかってるよね?
「猫の依頼はどうするんだ?」
カラ松がふと思い出したかのように、私達の本来の目的を告げる。
ほんとなら猫を見つけてから出発したかったなー……。
でも猫を探してる間に一松に何かあったりしたら困るし、っていうか今どんな状況かもわからないんだけど。
そこにいる可能性があるなら早く行くに越した事はない。
って事で、猫の捜索依頼を数名に頼み私達は¨籠りの館¨に向かう事にしたのだった。