第32章 第三十一話
お仕事中の店員さんの邪魔をしてしまったのは申し訳ないけど、問題はこっちのこのダメシコ松。
「さっき私の事甘やかしたら駄目だとか、ダラけ癖が出るとか言ってなかったっけ?」
「猫は探したって!ちゃんとここの店員さんに聞いたし、それに腹が減ってたら集中出来るものも出来ない訳で、もっと効率的にターゲットを探すにはどうしようかと考えた時にまずここで食事をして英気を養ってから」
「はいはいはいはい、わかったよ!ったくこのライジングシコスキーめ」
「だから違うって!」
当たって欲しくない予想でも、ほぼ確信的予想だからやっぱり来て良かったわぁ。
食事は大事だけどね、この人ここに何時間かいたらしいよ?
は~~~~、おそ松の事言ってられない。
お店の人に邪魔をしてしまった事を謝罪し、引きずるようにチョロ松を店から連れ出すと道行く先にただ壁に寄りかかっている怪しい男を見つける。
これも悲しいながら誰かすぐにわかってしまった。
いや、わかりたくもないしもう少し役に立って欲しいんですけど、何やってんの、暇なの?
「カラ松………」
「おお、ナス子」
チョロ松とは違い、私とチョロ松が現れた事に関してビックリした様子もなく普通にポーズをつけて返事をしてくるカラ松。
「一応聞くけど猫探しは?」
「ああ、勿論しているともさ」
見ればカラ松はWANTEDと書かれた猫の絵の紙を持っている。
これは誰かが来るのを持っているタイプだ。
そうだった、カラ松って自分からいけないタイプのヤツだった。
嫌な予想はしてたけど、どうせ鏡でも見て足止めでも食らってるんじゃないかとか、そんなものだったんだけど……もっと可哀想な感じだった。