第32章 第三十一話
「えーと……色は明るめで、模様はあったかなぁ? 首輪とかも見る余裕はなかったしぃ」
注目されながら眉間に皺を寄せて先程の光景を必死に思い出す、皺を寄せすぎて若干頭痛がしてくるぞ。
「あ、ナス子姉 参考にイラストとか描けないの?」
「えぇ?!こんな記憶が朧げなのに絵に描くの?!」
トド松が紙を持ってきてくれたのだが、なんとなくしか描けないし大きさだって子猫ではなかったけどどのくらいの大きさかもわからない。
私にもっと記憶能力があれば良かったのになぁ。
「猫だね」
「猫だな」
おそ松とカラ松が見たままを言う。
そうさ、私は猫を描いたし、猫の絵を描くと言ったからな!正しい。
ただその猫が正しい猫かはわからない。
あーーーー、言ってる事がなぞかけみたいになってきて訳わかんなくなってきたっ。
「一先ずこんな感じの猫でした!!」
ヤケクソにそう叫んでお手上げとばかりに両手を挙げた私に対し、先程向けられた表情からは売って変わったチョロ松が肩にポンと手をおいてくれた。
「情報はこのイラストと、玉の入った小袋をくわえてるかもしれないって事くらいか。でもないよりはマシかな、ありがとうナス子」
「じゃあこのイラストと情報を元に猫を探すって事でいいな?」
「かなり少ない可能性だけど仕方ないね、村の中なら安全だし全員別れて探すって事でいいかな?」
チョロ松にも怒られなかったし、カラ松もトド松もちゃんと考えてくれてるみたいだし安心した。
「じゃー、俺はその間に賭博場でお金を増やしに……」
「「「「待て待て待て」」」」
これだよ、これだからおそ松はおそ松なんだよ。
ゲームの世界でも現実でもなんら変わらない、良くも悪くもおそ松節一択!
そそくさと扉から逃げようとしたおそ松の首根っこをカラ松とチョロ松が掴み引き留める。
何度も言ってるけど……これが私達の勇者様なんだよなぁ、残念な事にね。