第32章 第三十一話
と、言いたいところだが駄目だ。
金に目がくらんで忘れていたが私達は今ピンチだったんだ!
「ねぇ、みんな。喜んでいる所に水を差して悪いんだけど、私達あの猫を探さないとホエホエ王国に行けないんじゃないの?」
「猫?猫ってなんだ……ってそうじゃん!忘れてたあああぁぁ」
あ、やっぱりおそ松も忘れてたか。
他の四人も合わせて同じように頭を抱えている所を見ると一緒だな。
200万Gなんて大金がもらえると言われたらそりゃ一瞬悩みも吹っ飛んじゃうよね、私だって頭の中がお花畑だったんだもの……いや~、このPTは金に弱いな。
「この村を出る前になんとしても猫を探さないとだね。ちなみにナス子、猫ってどんな猫だったの?」
「え?」
チョロ松に聞かれて一瞬しか見なかった猫を思い返す。
「……………なんか、猫、だった」
「は?」
やばい、今の一言でチョロ松の目がちょっと釣りあがった。
でもさ、一瞬しか見てないしほぼ半目だった時に見た猫の姿を完璧に覚えてられるかって言われたら覚えてられなくない?!
「もしかしてお前……覚えてないとか言わないよね?」
おわかりいただけただろうか、このチョロ松の有無を言わせない発言と、そして冷視線をご想像いただきたい。
くぅ、コイツらなんてのほほんと泉に浸かってたっていうのに!
「まぁまぁチョロ松、ナス子が見たのはほんの一瞬だと言ってただろ?そんな厳しくする事……」
「カラ松、甘やかしちゃ駄目だから。ナス子だって仮にも勇者一行の一人なんだよ?ここで甘くしたら現実世界のダラけ癖がこっちでも出ちゃうから」
「ダラけ癖って何?!お、思い出すからちょっと待っててよ」
「チョロ松兄さんってナス子姉とおそ松兄さんには割と厳しいよねぇ」
ほんとソレ。
チョロ松はいっつも私とおそ松には手厳しい。