第27章 【番外編】マツノトクエスト 第二十六話
いやはやしかしケロべロスもやはり犬なのか。
ボールを思い切り自分と反対方向に投げるとそれを追いかけて離れてくれる。
口に咥えて一人遊びを始めるがどれだけ持つかはわからない状況。
「……今のうちに止めを」
倒さなければならないが、ボールで遊んでいる姿を見ると躊躇ってしまう自分が情けない。
ここの世界はRPGゲームの世界だし、私が今までやってきたゲームの中でもケロべロスなんて普通に倒してきたのに、それが目の前にいると犬のように遊ぶコイツを倒すのが本当にいいのかと持ったハリセンを握りしめる。
「倒さないと殺される、倒さないと殺される」
何度も同じ言葉をリフレインさせ、自分に納得させる。
まだ私に興味を戻さない敵は背中を向けている為絶好のチャンスだ。
「━━━━━━━ああぁ、もう! できる訳なぁああい! じゃれてるの可愛」
その瞬間━━━━━━━━━━
「ん、んぐっ━━━━━っ!! んー!!」
壁際にいた私の口を誰かが後ろから塞ぎ、クルリと……ここは忍者屋敷かとでもいうような回転扉のような物にそのまま引きずり込まれてしまった。
「んん!! んー!」
犬……じゃなくてケロべロスの部屋から出れたはいいのだけどこの部屋はどこだろうか。
綺麗な部屋の中、蝋燭に灯され、整理もされているが生活感はあまり感じられない部屋。