第19章 【番外編】マツノトクエスト 第十八章
「いやぁ……でも、ねぇ? 壊したの十四松だしぃ……」
「そうだな、十四松が壊したのなら、俺達が払うのも仕方ない……のか?」
「うーん、なんかスッカリそういう流れになっちゃってるからしょうがないんじゃない? 十四松兄さんが払えるなら後から返してもらえばいいんだし」
さすがはクズの六つ子。
トド松は末っ子だからまだわかるけど、カラ松、アンタはお兄ちゃんなんだからさぁ。
いや六つ子だけどね?
「いーよ、わかったっ! じゃあとりあえず、とりあえずね? 俺達が払っておいて、次アイツに会ったら絶対金返させるから! それでいいよなっ! なんなら利子つきで!」
「「そうしよう」」
「おおーい!」
あれ?! もしかして私がおかしいのか?!
うーん、そう言われてみれば確かに壊したのは十四松なんだから十四松が払うべき、か?
私が十四松に甘いのか━━━━━━━━━━!!
普通はそう考えるべきなのか、コイツらが情に薄いのかなんなのかもうわかんなくなってきた。
と、私が頭をぐるぐるさせていると、トド松が宿にある掲示板のような立て板の前に移動して、貼り紙に目を通し始める。
そっか、確かに宿の看板にはクエストがいっぱい張り付けられていた。
初心者向け、中級者向け、上級者向けと書かれている。
私達の場合は初心~中級くらいかな。
「仲間が攫われたってぇのに悪いな勇者様達、コチラも商売なもんで……」
いいんだよ、トト……ロ。
オカリナでも吹いて、私達のお金待っててください。
悪いのは私達と十四松なんだし。
こうして私達は全員で同じクエストを選ぶのも時間がかかるであろうと考え、二人づつ分かれてそれぞれ金銭的に美味しいクエストにとりかかる事になった。
と言っても、私達のレベルで受けれるものは少ないし、一つのクエストで稼げる金額もそうそう多くはないんだけどね。
時間がかかりそうではあるけど、仕方ない。
ここに金ヅル坊が……ハタ坊がいれば何とかなるのにとは思うが、このゲームを作った本人はここにいる訳もなく。
掲示板に貼られたいくつかのクエストに目を通してみる。