第16章 【番外編】マツノトクエスト 第十五章
「…………もう少しだけ、待ってくれないだろうか、俺のカラ松ガールにこの想いを告げるまで……」
「そしたらキスしていいの?」
「う………そ、そんなに俺の事を……っ」
【 カラ松は 混乱 している 】
ライクでも、ラブでもない相手からキス。
そりゃわかるよ、私だって普通に思う人にキスしようって言われたら引くしさ。
でもトド松の言い分だってわかる。
だからと言って、カラ松はなんだかんだクソだけど一途な人間。
一度誰かを好きになってしまうと多分まっすぐだ。
自分に好きな人が出来たのなら他の女性とキスすると言うのは、カラ松のプライドが許さないのだろう。
「トド松、いいかな……それでも?」
「えー、面倒臭いなぁほんっと。どうせフラれるのがオチなのにー」
わかってるけど、待っていて欲しいと言われたらそれを尊重してやりたい気持ちだってあるのだよ。
だって私、お姉ちゃんだし。
「わかったよ、カラ松。早くフラれてきてね!」
「え」
多少時間がかかってしまうかもしれないけど、お互いが納得する手段と言えばもうこれしかない。
呪いを解くのが口と口をくっつけるってのがほんっと厄介だわぁ。
この世界に来て、初めて伝説の乙女面倒臭ぇ!って思ったかも。
乙女扱いなんてされてないんだけどさ。
仕方なくカラ松を開放し、トド松のお説教タイムが始まる。
「もー!! ナス子姉、甘すぎ!! さっきも言ったけどどうせフラれるんだしさっさとしちゃえば良かったのにさぁ」
「んぐー、トド松の時は楽勝だったのにまさかあのカラ松があっさりOKしてくれないとは思わなくって……それに好きな人が出来たならする訳にもいかないでしょう」
「この世界はどうせゲームだよ? こんな所で恋愛したってどうにもならないんだからさっ、ないとは思うけどもし……もしも万が一、地球が爆発して塵になってブラックホールに吸い込まれちゃうくらいの確立であの子と上手くいっちゃっても、それは結局はゲーム世界の人間との恋愛で幸せにはなれないんだよ? イタイだけの人間になるだけだから、今も十分イッタイけど」
ブツブツと説教を受けながら、私達は様子を見る為に一階へと向かうのだった。