第2章 【番外編】マツノトクエスト 第一章
そう、タンス・ツボ・本棚・とにかく部屋を漁る。
現実世界じゃ泥棒のような行為もRPG世界では許される謎の盗人行為。
「ないなぁ……何かないかなぁ~、あ! ベットの裏に宝箱発見!! うはぁうはぁ、まさにゲームの中って感じ!! どれどれ~………」
【 ナス子 は ハリセン を 手に入れた 】
「はぁ?! 武器しょぼっ、攻撃力あんのこれ?!」
まだ家探しも終えてはいないが最初に手に入れた武器だ。
適当にブンブン振ってみると中々振り心地はいい。
頑丈な紙と言うか羊皮紙のようなもので作られているみたいで当たると普通の紙よりは痛そうだ。
「おっ、やっと起きたか。お前寝すぎじゃね?」
ハリセンで遊んでいると、扉が開く音が聞こえて振り向く。
知らない服装の男性が顔を出すが、よくよく顔を見るとよく見知った男で安心した。
「あ!! おそ松っ、良かったぁ、合流できたっ」
「ん? なんでアンタ俺の名前知ってんの?」
「━━━━━━━━━━はぁ?」
どう見ても顔はあのムカつくプレーンな顔をしたおそ松。
だが恰好は赤いターバンを頭に巻いていてねじねじの青いスカーフ、白い服装に腰元にはベルトをキチンと巻いて、真ん中にはいつもの緑の松のマークをつけて青いズボンと長い革靴。
許しがたい事に自分よりも装備が良さそうでよりムカツクが赤いマントまで羽織っていて、いかにも勇者みたいな感じだ。
何あれ、茶色い皮手袋までしてズルくない?!
「なに黙ってんだよぉ? 助けてやったのにお礼もなし?」
あまりの装備の豪華さにボケっとしてその姿をマジマジと見ていたが、相手は目を細めて私を見返してくる。
なんだか感じた事のない態度を取られているようで、先ほどの言葉に質問を返してみた。
「えと、おそ松……私の事、わかんないの? ていうかその装備は一体?」
「え~? 新手のナンパでもしてんのぉ? 悪いけど俺キミみたいな色気のない女の子はタイプじゃないんだよねぇ、ごっめーん! それに、今更そんな詐欺みたいな方法流行らないよぉ。恰好もダサいし。それにこの恰好を聞かれてもなぁ~……どっからどう見たって勇者様だろ?」