第15章 【番外編】マツノトクエスト 第十四章
「ねぇねぇ、ぼくの事本当に知らない?」
「しつこいな、トド松! さっきから何言ってんだよぉ、だから知ってるって言ってるだろぉ? あのお姉ちゃんの店の事はもう許してやったんだからいいだろうが」
トド松は兄達に自分の事が忘れられている事を知って、旅の道すがら、朝から早速3人に質問している。
「カラ松兄さんも、ほんとのほんとーにわかんないの?!」
「ん~? 兄さん? ハッハッハ、そんな事を思っていてくれたのかトドまぁつ、これからは俺の事をブラザ~……と、気軽に呼んでくれても構わないぜぇ?」
兄さんと呼ばれ、満更でもなさそうなカラ松は嬉しそうな顔をしてポーズをするも、そんなカラ松の動作はイタくすぐトド松はチョロ松に向き直った。
「チョロ松兄さんは?」
「え? 何チョロ松兄さんって……いきなり弟ポジションとか狙ってるのトド松、あざといなぁお前」
その様子を見ながら私は溜息をつく。
振り返ったトド松が私の隣に並ぶと、ダメだとばかりに首を振ってきた。
「全然ダメだね、何を言っても全く思い出す気配がないよ……やっぱりここはナス子姉が呪いを解かないとダメなんじゃない? 一応ほら……伝説の聖なるおと………乙女だし(笑)」
「語尾に悪意を感じるのは私だけだろうか? ん?」
「いやぁ、若干だけ面白いなって思ってるけど、若干だけ! でも言ってる事は真面目だよ?」
と、いう事は私は残りのパーティメンバーにも呪いを解くキスをするという事か。
なんで私が王子様ポジションなのかと問いたいわぁ。
「でもさぁ、トド松はいいよ? 相談したら乗ってくれたし普通にいいよって言ってくれたからキス出来た訳だし……他の皆はどうなのかと聞かれるとこの旅での扱い思い出すと難しくない? 特におそ松なんか絶対嫌がると思うんだけど」
「あ~……次男とシコ三男は楽勝としてもナス子姉もおそ松兄さんに対してだけはいっつも素直じゃないし、逆も然りだからねぇ」
こうやって普段の会話が出来るってなんて素晴らしいんだろう。