第12章 【番外編】マツノトクエスト 第十一章
「お、下ろせ! このっ」
「暴れたらあぶないよ、プリンセス。 また泉の中に落ちてしまう」
その姿を見た4人の男達はポカンと口を開ける。
なんたっていつも女性扱いをしていなかった相手がイケメンに姫抱っこされているのだから。
「へぇ、お前がここのボスか? 腕が鳴るぜ! さ、かかって来いよオラァ!!」
「え、えー?! なんだよこのイケメン3人はっ! こんな3人捕まえた覚えないんだけどぉ?!」
普通のチョロ松が青いイケメンを見て慌てふためき、泉からダッシュで逃げて逃走を図るのだが、その足をおそ松が引っかけて転ばせる。
「━━━━━━━アクシデンツ!!」
転びながらも意味のわからない悲鳴を上げるチョロ松を全員が見下ろす。
「チョロ松……よくもやってくれたねぇ? あ、下ろしてください」
「それはダメだよ、だってマスター疲れてるでしょ?」
「僕のブレインにも、貴女のMPやHPが減って来ている事がビンビンに伝わって来ています。 今放しても貴方は戦闘に入り負けてしまうでしょう」
とても、とても、とっても恥ずかしい。
だってこんな女の人みたいな扱いを受けてるんだよ?!
しかもパーティの皆にも見られてるし……。
「いーから!! 下ろせぇぇぇえっ!」
ジタバタ暴れまくると仕方ない顔をしたイケメンおそ松がやっと泉の外の地面にそっと私を下ろしてくれた。
「全く、困った子猫ちゃんだ」
チョロ松は転んだ拍子に顔面をブツけたらしく、その場をゴロンゴロンと顔を押えて転がっている。
倒すなら今だ。
「無事か?!」
「ナス子!!」
「良かった、泉から解放されたんだな……安心したぜっ」
━━━━━━━普通の顔の3人が近づくのだが、何故かそれを許さないイケメン3人。
私の前に立ちはだかり、パーティの足を止める。
「こんなザコ敵に足止め食らってるようじゃ、この先ブスの事守って行けるのかよ、勇者さんよぉ」
「なんなら僕らと入れ替わって、代わりに君達が僕らの世界に行くかい?」
「もう少し効率的に、敵をよく見て戦闘して欲しいものですね」
6人の間に、ピリリとした空気が流れる、のだが……。