第2章 アボカド
「もしかして、好きになったのが前とか後とか、気にしてる?」
「えっ」
「ああ…気にしてるんだ…おーちゃんのほうが、先にニノのこと好きだったってこと?」
すごく座りが悪そうにして、翔くんは少しだけケツをずらした。
「まあ…多分そうだろうと思う。だから、もしかしたら和也と…ニノと付き合ってたのは智くんだったかもしれないって…たまに思うんだ」
「ばかだねえ…翔ちゃん」
「あ?」
「ニノのこと、信じてないの?」
「そうじゃねえよ…そうじゃ…」
「じゃあなんなの?」
「自信…ねえんだよ。俺が」
「はあ?」
翔くんはボリボリと頭を掻いて、ぐしゃっと髪を握り込んだ。
「自信なんか…あるわけねーよ…男と付き合うのなんか初めてだし…ましてや、ニノだぞ…?」
言わんとしていることは、わかる。
ニノはアイドルであり、天才的な才能を持った役者で。
アカデミーの最優秀主演男優賞だって取ってる。
芸能人である俺たちにとってそれがどれほどの価値があるのか、痛いほどわかってる。
そんな男と…付き合っていく自信ってヤツか…
それに…俺たちは、大野さんの才能も凄いと思ってる。
昔から、あの人天才だろって思ってる。
不器用だし、俺たち以外には愛想のない人だから、賞は取ってないけどさ。
翔くんが大野さんのこと、敵わないと思ってるからこその煩悶なんだろう。