第9章 雪辱
『なあ、人が何のために生きるのか。考えたことがあるか?』
「?」
急に哲学者のような疑問が始まり、承太郎は不審に思う。
『俺の考えはこうだ。人は偉業を成すために、必死に生にしがみつくのだ』
敵スタンドはその場で軽いステップを踏むように回る。
『お遊戯会でお母さんにいいところを見せるために練習に励むのも、受験生の息子が有名大学に合格するために苦手な勉強に励むのも、そしてお前たちが大切な人のためにDIO様を倒したとしても、それもまた偉業だろう』
のらりくらりとした口調と動きで、自由気ままに持論を言う。
すると今度は由来に向けて指をさした。
『だが由来。お前はどうなんだ?お前は偉業を成そうとはしない。なぜなら、自分の生に執着がないからだ。しかもお前がしてきたよい行いを全て、危険すぎるスタンドを持つ自分をカモフラージュするための道具にしてきた。貴様が何を成そうとも、それは偉業とは言い難い』
そして敵の氷結が再びじわじわと現れて、鋭いナイフの如く形を変えて、由来に向けられる。
『俺の偉業は、お前を何としてもDIO様に差し出すこと!成し遂げることでDIO様の英雄になる。誰も成し遂げられなかった偉業を成し遂げるのだ!』
無数の氷が一気に押し寄せる。