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イケメン戦国【秘密の花園】

第2章 手と手を繋いで




「やっぱり佐助くんだぁ、いらっしゃい」


ガクブルの俺とは対照的過ぎるトーンで言われ、少し拍子抜けする。

莉菜さん…怒らないのか?

こんな夜中に無断で部屋に侵入されてるのに……


「ねぇ、そんな隅に居ないで、こっちに来て!あ、お茶淹れようか?」


怒らないどころかそんな気遣いまで…

莉菜さんの心理が読めない。

往復ビンタくらいは覚悟してたんだけど。


「いや、ありがとう。でもお構いなく…もう、すぐに退散するから」

「え、そうなの…?」

「うん…ごめん」


莉菜さんの方を振り向けないままでいると、


「せっかく来てくれたんだから…ゆっくりしてって欲しいな……」

「…っ」


そのひと言で、俺の固い信念は瞬時にハンペン並みにソフトになった。

帰るに帰れなくなり ゆっくりと振り向く。

莉菜さんは上半身を起こした状態で座っていた。

恐る恐る布団の横へ移動して、自分も正座をする。


「ほんとにごめん…こんな夜中に、勝手に……」

「私こそごめんね。来てくれたのに全然気付かなくて」


笑ってる。

なぜ君は……


「怒らないの…?」

「怒る?」

「真夜中に女性の部屋に…しかも就寝中に忍び込むなんて… 俺、かなり非常識なことをしてると思うんだけど……」


どう反応が返ってくるか怖いけど、聞かざるを得ない。


「大丈夫、気にしないで。朝でも昼でも夜でも、何時でも遊びに来てくれたら嬉しい」


…!


「それにね、今、佐助くんの夢を見てたの。そしたら佐助くんがほんとに居たからびっくりした!」

「俺の夢?って、どんな夢……?」

「佐助くんが迷子になって、泣いてる夢」

「俺が、迷子」

「ふふ… 迷子なんて、佐助くんって言うより私だよね。なのに夢の中では佐助くんが泣いてて、それを見つけた私が慰めてたの」

「そうなんだ……面白いな」

「うん…」


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