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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第9章 梅雨入りの午後(東峰旭)


どうしようも抑えられない。
小さな頭を抑えて、無理やりみたいなキス。
自分がこんな、大胆だとは思いもしなかった。
「ん、んっ…」
息苦しくないよう、少しずつ舌を絡ませる。
途中で漏れる吐息すら可愛く、我慢できずに飲み込んでいく。
「んん……っ!んぁ…はぁ」
胸を軽く叩かれてやっと解放すると、潤んだ瞳がこちらを見上げてくる。
「ご、ごめん、さん…!」
その顔を見て我に返る。
なんてことをしてしまったんだと。
あんな、怖い目に遭った後だというのに。
「あ…っ」
それでも彼女は拒否するでもなく、震える手でゆっくりと俺を引いていく。
「さん?」
「先輩なら、怖くないですから…。
だから…、忘れさせてください…っ」
最低だ。
こんな、弱味につけこんだようで。
「ごめん」
それでも、衝動は抑えられない。
薬臭いベッドが軋む。
彼女の細い身体に体重をかけていく。
つぶれそうで…少し怖い。
さっきのキスの続きを求めれば、あっさりと受け入れてくれる。
「…んぅ…ぁ…っ」
息継ぎが上手く出来ないのなんかお構いなしに、また乱暴にその痺れるような快感に身を任す。
制服を脱がせれば、痣という痣が目に入る。
さぞ辛かっただろう。
「さん、これ…」
「やだ……!み、見ないで…」
「アイツにヤられたのか?」
「そう、です……」
怖くて、逃げられなかっただろう。
ワイシャツをぐっと握り、これ以上広げられないようにしている。
首筋から鎖骨に見える傷だけ、そっと触れると、くすぐったそうに身動ぎをした。
「あ、ああぁ…」
柔い肌を触るのすら、奴のしてることと同じなのに…。
自己嫌悪で吐きそうなのに、それでも、自分にこんな獣みたいな感情があったのかと。
痣に唇を寄せて、少しでもマシになればとも思った。
彼女の中心に指を這わせれば、温かなそこが迎え入れてくれる。
吸い込まれるように指が誘導された。
「あ、あぁ…ひぁあっん…」
奥にまで忍ばせれば、小柄な彼女の最終着点にあっという間に届く。
「あっ!はぁ、あっ…!」
「ごめんね、痛いよね…」
「だい、じょ…ぁ」
そのまま擦るように、爪で引っ掻けないように優しく撫で上げると、びくん、と揺れて悲鳴のような甘い声が上がる。
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