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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第8章 四月莫迦を君と 其の三




『遅くなりましたー。』


結局、此奴が帰って来たのは定時前だった。


「遅いぞ!何処をほっつき歩いていた!」

『其れが……ぱふぇを食べた後駄菓子屋に行こうとしたらその途中の川で太宰さんが流れて来るのを見かけて。まぁ一応引き上げたは良いんですけど何故か私と乱歩さんが殺人未遂の容疑に掛けられまして、三人で必死に誤解を解いて今に至ります。』

「彼奴に関わるとろくな事にならんぞ。」

『身を以て実感しました。』

「其れに乱歩さんが居たのならばすんなり説得出来たのではないか?」

『警察が殺人未遂容疑の掛かった人の話をまともに聴いてくれると思いますか?』

「……それもそうだな。」

『国木田さん定時で帰りますよね?帰る時起こして下さい。仕事はきちんと終わらせて帰るんで。』


彼女ははぁと溜息を吐くとソファに寝っ転がり俺の返事を聞く間も無くすぅすぅと寝てしまった。













「………ぃ、……ろ。……おい!起きろ!」

『んー?』


まだ眠たいのであろう、目を擦りながら俺の顔を認識するとハッとした顔で辺りを見回した。


『えっ!?国木田さん!?あ、そっか私が頼んだんですよね。すみません。』

「案ずるな。それより帰るぞ。」

『いや、私仕事残ってますので…』

「俺が終わらせた。其れにもう辺りは暗い、御前の家は何処だ。」

『えっ、もう暗く?…ってこんな時間!?もうすぐ日が変わっちゃうじゃないですか!定時で起こして下さいって云ったのに!』

「俺は定時で帰るとは一言も云っとらん。」

『そ、そうですけど…。国木田さん、ありがとう御座います。今度何か御礼をさせて下さい。』

「別に構わん。それよりとっとと帰る支度をしろ。」

『はっ、はい!』


宮野の準備を待っている間に等に日を跨いでしまった。
此れから此奴を家へ送り帰って寝るまでの予定を頭の中で組み立てる。


『お待たせしてすみません。行きましょうか。』

「嗚呼。」




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