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【忍たま】短編集

第4章 ちうパニック(食満留三郎)


俺は今、猛烈に機嫌が悪い。
すれ違う奴がみんな敵に見える。

その理由は今朝の出来事。
いつものように朝食を取りに、食堂へ行った時のことだった。


「おはよう、留三郎。」

「おう、………!?!?お、おまっ、そそそそれっ!?」


いつものように挨拶を交わした椿。
だがその首筋には赤いあ、あれがっ!!
言葉にならずにそれを指差す。
いや、言葉になんかできるかよ!


「?あ、これ?そうなの、付けられちゃって…」

「だっ、誰に!?誰にやられたんだ!?」


身を乗り出して椿に問い詰める。
こいつはこんなことをされたってのに、ケロッとしてやがる。


「そんなの知らないよ。寝てる時だったから。」

「寝てる時だと!?」


くそっ!誰だ!?
椿が寝てる間に忍びこんだってのか!?
野郎…絶対に、見つけてやる!


「留三郎、朝からうるさいよ。ほら、詰まってるから早く行って。」


伊作に押され、周囲への殺気を放出させながら他の六年と一緒の席につく。

一体誰が…

学園の大半が椿を狙っていたことを考えると、まず疑わしきはこの六年。


伊作…まさかお前ってことはないよな。
仮に伊作だったとして、同室の俺が夜中に姿を眩ますこいつに気づかないなんてことはあるだろうか?
いや、考えられない。
いくら寝ていたとしても、伊作が部屋を出れば気づくはずだ。

となると…小平太。あり得る、十分に。
こいつは椿に対して一番馴れ馴れしい。
その獣みたいな行動力で本能のままに椿を襲った、なんて考えるのは容易い。
長次どうなんだ?小平太は昨夜部屋を出たか?

ん…?長次?
そうだ、小平太を操れるとしたらお前しかいない。
小平太を懐柔して悠々と部屋を抜けることは、長次には可能なはず…
お前はそんなことしないと信じていたが、その表情の裏であんなことやこんなこと…まさか考えていないよな?
どうなんだ長次!?


「留三郎、顔がうるさいぞ。顔が。」

「小平太絡むな。大方下らない妄想でもしているんだろ。」

「なっ!妄想などしていない!」

「わかったから静かにしなよ、恥ずかしい。」
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