第8章 裏切りの時間
一旦ゲームを中断し、蒼葉がトイレに行った隙に、唯一の女子であるかすみにこっそり声をかける。
学秀『頼みがある。誰にも、特に蒼葉だけには見つからないよう、まぁにこの紙を渡してほしい。
タイミングを見てトイレに誘ってやってくれないか?』
かすみ『分かった!任せて。』
かすみは快く承諾してくれた。
その後ゲームを再開し、終わるとすぐに僕は別荘に戻り支度をする。
執事長の車に乗り込み、とある場所に行く。
ゲームを終え、榊原君と学秀は自分の別荘に戻って行った。
蒼葉さんの別荘は広く、本邸とは別に離れがある。
優君と悟君は同じ敷地内にある離れへと帰って行き、蒼葉さんとかすみ、私の3人になる。
かすみ『ねぇ、トイレ行かない?』
蒼葉『行っておいで。ゲーム中、行ってなかったでしょ?』
私はかすみと2人きりでトイレの中に入る。
するとかすみが小声で私に紙を渡しながら言う。
かすみ『これ、浅野君から。良かったね!』
私は涙が溢れる。
かすみ『さ、遅くなったら怪しまれちゃう!早く読んで!』
私が小さく折られた手紙を読む。
そこには学秀の綺麗な字で、
必ず助ける。今は耐えてくれ。
まぁの事が好きだ。僕の元に戻ってきたら、きちんと伝えさせてくれ。
そして、読んだらトイレに流してくれ。
そう書かれてあった。
『学…秀…。』
私はその手紙を握り締め、涙をこぼす。
かすみ『そんなに嬉しかったんだね…。でも、いけないなぁ〜。ご主人様の命令に逆らうのは…。』
『どういうこと?かすみ…?』
『そう言う事だよ。ご苦労様。かすみ。』
トイレのドアが開く。そこにはにっこり微笑む蒼葉がいた。