第5章 嫉妬。
家に帰って自室で参考書を読んでいるとノックの音がする。
『入れ…。』
まぁ『失礼します。コーヒーをお持ちしました。』
学秀『あぁ、そこに置いてくれ。』
『かしこまりました。あと……今日はありがとうございました。』
学秀『こちらこそすまなかった。僕が付き合わさなければ嫌な思いをする事はなかった。』
『いえ…。』
彼女の手首には、先ほど蒼葉に拘束された痕がうっすら残っていた。
学秀『見せろ。』
まぁの手首を優しく見る。
綺麗な腕に……。僕のせいで…。
気が付いた時にはまぁを抱き寄せていた。
『あの…学秀…様?』
学秀『まぁ、お前は僕の専属使用人だ。誰にも渡さない。僕以外の男には触れさせるな!いいな?』
『私は、浅野家の…学秀様の使用人です。そう命令されるなら、私はそれを守るだけです。』
学秀『それでいい。今日はもうあがってかまわない。』
『失礼します。』
まぁが部屋から出て行く。
何なんだ…。この気持ちは…。使用人としての支配欲?いや、違う。この感情はもっと、個人を、まぁだけに対する感情だ…。まさかな……。この僕が。
改めて自分の感情を理解した時にはまぁを、1人の女性として意識し、惹かれている自分がいた。