第4章 消せない記憶。~宴~
パチパチッ。。。
碁石をおく音だけが響く。
『…………強くなったな。もう大丈夫だろう。』
パチッ。
『え?』
あまりに真剣になりすぎて信長様の言葉を
聞き逃してしまう。
『………貴様の勝ちだ。』
『へ??』
『ひなの勝ちだといっている。』
『ほんとにですか?!すごい、
私はじめて勝ちましたよ!!』
信長様に言わなくてはいけないことを忘れて
勝負に勝ったことを単純に喜ぶ私。
『して、お前の望みはなんだ。』
『あっ、あの……』
その一言で現実に戻され言おう言おうと緊張していると
『政宗のことだろう。』
『!!!なんで知って…』
びっくりして信長様を見つめる
『なんでもくそも、戦場にまでついていくくらい
惚れているくらいだ、
三成でもわかるぞ。』
『!!!だって。。。』
『で、なんだ?』
笑って私をみる信長様の顔は
本当にいつも魔王と恐れられている人と
同じ人なんだろうかと思うくらい
優しい顔だった。
『その。。。政宗と一緒に奥州にいくことを
お許しください。』
精一杯勇気を振り絞って言う。
政宗と恋仲になったとはいえ、
今まで信長様にお世話になったことは数知れず、
信長様がいなかったら
私はあの戦国時代で生き抜けていなかったと思う。
だからこそ、
まだ恩返しもできないまま、
政宗についていくという事に
でも、それ以上に
政宗についていきたいと思っていた。