第11章 教育実習の時間
教育実習が明日に終わるため、私は学秀と一緒に、西川先生に花束と色紙を贈るため、遅くまで、教室に残っていた。
学秀『さぁ、そろそろ帰るか。』
『うんっ!西川先生、喜んでくれるよね!じゃあ、私、物品室に借りてた道具返してくる!』
学秀『あぁ、僕もこれを片付けたら向かう。』
物品室は、理事長室から近い。
私は荷物を持ち、物品室のドアに手をかける。
『私、学峯先生が好きなんです!結婚されてるとか関係ありません!』
隣の空き教室から声が聞こえる。少し隙間が開いたドアから、理事長先生と西川先生の姿が見える。
次の瞬間、理事長先生の唇に、西川先生の唇が重なる。
ガシャッ…。
私は持っていた荷物をその場に落とす。
その音に、理事長先生と西川先生が私に気付く。
私は慌てて荷物を拾い、物品室へ入る。
ガラッ…。
『学…秀…。』
学秀『……。見たのか。』
私は黙って頷く。
学秀『理事長…いや、父の事が好きなのか?』
『…………ぅん。』
学秀『………そうか。』
『…引かないの?私、学秀のお父さんの事、そういう風に思ってるんだよ。』
学秀『人に好意を持つことに、既婚も年齢も立場も関係ない…』
『…………。』
学秀『……僕ではいけないか?…まぁ、僕は君の事が好きだ。』
『えっ………?』
学秀『返事はすぐでなくていい。考えてくれ。』