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台風のちに快晴、そして虹 【気象系BL】

第26章 Rush around




「…怒ってもなさそうで、良かったです。
潤と、仲良くしてくださいね」

沈黙を破った雅紀に静かに頷くと

「おーい、ま…相葉ーっ!?」

背後から聞こえた大きな声

振り返ると居酒屋の大将で

「あ、お前!サボってんじゃねー!
長瀬がお前のチャーハン出せって
うるせーんだぞっ!
早く戻ってこいっ!!」

大きく手招きをしながら呼ぶ大将を
見た雅紀がわかったと大きな返事をして

戻ろうと横を通りすぎる刹那

「彼氏が呼んでるんで、戻りますね💚」

耳元でボソッと囁かれた言葉

え、え…?
かれ……し…?

大将の横に並んだ雅紀が
するり、と自然に腕を組んだあと

俺を見やると空いた手で
立てた人差し指を口に押し当てた

内緒…?

瞬間、ふとさっきの発言が頭をよぎる

さっきの俺が悪い、って…
彼氏いるのに…ってことー!??!

「…ま…ごほん!相葉っ!
腕絡めんじゃねぇっ」
「なんで?いいじゃん?
店の中じゃないんだし〜…」
「あのなっ!今仕事中だっつの!」
「もぉ〜…まろ兄ぃの照れ屋さん💚」
「お前!仕事ん時はちゃんと店長って言え!」
「えー…」

呆然とする俺をよそに
少し頬が赤い大将と
妖しく微笑む雅紀が
通りへとゆっくり歩いていく

さっきの聖母のような笑顔と
今の表情のギャップについていけなくて

2人の姿が見えなくなっても
俺はしばらくそこで立ち尽くしていた


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