第26章 Rush around
「…ん、んん…?」
少しの暑さと苦しさに覚醒する
あれ、俺…?
「ってぇ…」
少し体を動かしただけで走った痛みに
意識がはっきりとしてきて
ずっしりと背中にかかる重み
振り返るとそこには
濃い眉毛に長めのまつげ
「…しょ、ぉ…」
漏れた寝言のあと
すでに捉えられている腕の力が強くなる
こんなに抱きしめなくても
逃げやしねぇってのに…
俺が2度果てたあとも潤は離してくれなくて。
『じゅ、も…っ!無理ぃ…っ』
『だぁめ…っ』
離さない、と魘されたように繰り返しながら
体で何度も何度も想いを伝えてきて
「…バァカ…」
一言悪態をついて
肩口に埋められてる鼻を抓ると
伏せられてた瞼が持ち上がる
「…なに…?」
「なに、じゃねぇよ…無茶しやがって…っ」
「気持ちかった、だろ…?」
なぁにが気持ちよかっただろ、だ!
寝起きでだか、安堵でだかしらねぇけど
力の抜けた、満足した顔しやがって…
「やっと、手に入れたんだもん…許せ、よ…」
また力強く抱きしめられて
「翔…」
「も、いいよ…」
気持ち…わかんなくもないから、
仕方なしに許してやるよ…
ぴったり、汗ばむ身体が重なることも
怠さしか感じないことも、なにもかも、
不快になんて思わないほど
俺も、こいつに惚れてんだなぁ…