第15章 shine of the palm
大「最初から?へぇ、そりゃそのお願いとやらは余計に興味が出るな・・・あ、さっきも言ったけどお背中流します的なやつはお兄さん立候補な?」
・・・ないから、そんなの。
なに言ってるんだか、とわざとらしくため息を吐いて見せて、これから言う事を考えながら背筋を伸ばして姿勢を正す。
『念の為、みなさんに確認しておきますが・・・絶対になんでもお願いを聞いてくれるんですよね?』
三「もちろんだ、男に二言はねぇよ。な、みんなもそうだろ?」
ナ「YES!約束破りは、ハラキリと切腹デス!」
壮「ハラキリも切腹も、意味は同じだよナギくん」
いつもながらのやり取りを聞いて笑ったあと、ふぅ・・・と息を吐いてみんなの顔を正面から見据える。
『私のお願いっていうのは・・・』
環「お願いって?」
『新人賞を必ず掴み取って下さい。ただ、それだけです』
たったひと言だけ言って、紡さんを見る。
あの日、TRIGGERの楽屋を出る時に天が紡さんに向けて言った七瀬さんへの伝言。
それを思い浮かべたのか、紡さんも私を見て大きく頷いた。
陸「新人賞を取るって・・・結構大変な事なんじゃ・・・」
七瀬さんが呟いた言葉に、みんなも神妙な表情を浮かべる。
『なんでも、聞いてくれるんですよね?だから絶対、新人賞を取って下さい』
困惑するのは、私にも分かる。
もし私が同じような立場だとしたら、いきなり新人女優賞を取れと言われているようなものだから。
ジャンルは違えど、その賞を手にするにはどれだけ大変なのかは・・・分かる。
『お願い、聞いて貰えますか?』
ニコリと営業スマイルを貼り付けた顔で、1人ずつの顔をゆっくりと順に見る。
環「俺は・・・頑張る。そーちゃんとも、みんなともちゃんと頑張るって決めたし・・・だから、マリーのお願いも、頑張る」
壮「環くん・・・僕も環くんと同じ気持ちだよ。本当にそんな凄い賞を勝ち取れるかは未知数だけど、挑戦する前から諦めるのは、僕も・・・もう辞める」
四葉さんと逢坂さんが顔を合わせ、何も言わずに頷き合う。
大「タマがそこまで頑張るっていうなら、お兄さんもちょっと頑張らなきゃだよなぁ・・・一応ほら、リーダー任されちゃってるし?」
三「だな・・・誰より1番気合い入れなきゃなのは、オレかもだけど、それでも目指すのは大きい方がいい!」
