第11章 スタートライン
言いながら愛聖さんを見て、その不自然な格好に目が行ってしまう。
「愛聖さん···その格好って」
『な···なんでもありません』
なんでもないって言われても、帽子に大きなマスクに···しかも室内なのにと考えたら、やっぱり変だよなぁ。
ナ「OH!!マリー、もしかして刑事ごっこしてマスか?!それならワタシがマリーを逮捕しマース!」
さっきまで怖い顔をしていたはずのナギが、いつもの感じで愛聖さんに抱き着く。
『ナギさん!離して···』
ナ「それはNOデスね!マリー、おとなしくワタシに逮捕されてクダサイ?」
『や、めて···お願い···離して···!』
ナ「マリー?」
ドンっと力いっぱいナギを押し返した反動で愛聖さんが後ろに倒れ込む。
大「危ないっ!···セーフ···ナギ、嫌がってる時はすぐに離してやれよ。愛聖、大丈···」
愛聖さんを抱きとめた大和さんが、急に黙り込むのを見てみんなが様子を伺う。
大「愛聖···それ、なにがあったんだ?」
大和さんの言葉に、その肩越しに愛聖さんを見れば···帽子が外れて、変な場所だけ短くなった髪がハラリとしてて。
取れかかったマスクからは、青く腫れた顔が···丸見えになっていた。
一「まさか、事務所を荒らした人間と鉢合わせたとか?!」
壮「そんな···女性の顔を殴るなんて」
三「愛聖、なにがあったんだよ。もしかして寮に1人でいる時になんかあったのか?!」
『ち、違っ···』
尋常じゃない状態の愛聖さんを囲み、みんながそれぞれの事を言う。
大「愛聖、昨日はRe:valeと仕事してたんじゃないのか?そこでなにが起きた?···愛聖?おい!大丈夫か?!」
急に様子がおかしくなった愛聖さんを見て慌て出した大和さんが愛聖を揺すり、それを見た社長が膝をついて顔を覗く。
小「···万理くん、愛聖さんを落ち着く場所に」
万「分かりました」
社長に言われた万理さんが愛聖さんを抱きかかえて、慌ただしく部屋から出て行ってしまう。
環「なぁ···ボス。いまのって、俺たちにも話せない事なのか?」