第11章 スタートライン
❁❁❁ 壮五side ❁❁❁
紡「みなさん忘れ物はないですか?大丈夫ですか?」
飛行機から降りたラウンジで、マネージャーが最後のチェックをする。
大「マネージャー···ここで忘れ物が!とかいっても遅いだろうよ···」
一「そうですね。向こうを出る時に何度も確認はしましたし、こんな時に忘れ物を思い出して騒ぐのは七瀬さんくらいじゃないんですか?」
陸「なんで名指しでオレなんだよ!」
いつでも、どこにいても、普段と変わらず聞こえてくるやり取りに微笑ましく思いながら、自らも手荷物の忘れ物は大丈夫だろうかと確認をする。
「うん、大丈夫だ」
あれだけ一織くんに言われて何度も確認したんだから、忘れ物は大丈夫だと思っていても確認をしてしまう。
環「そーちゃん、なにが大丈夫なんだ?」
「忘れ物の事だよ。環くんは大丈夫?ちゃんと確認した···みたいだね?」
愛聖さんへのお土産にするんだといって幾つも買い込んだ袋を腕に下げ、更に愛聖さんが好きそうだからと最後に買った大きなパイナップル型のぬいぐるみは、環くんの腕の中で大事に抱えられている。
三「それにしても環、おまえ随分とたくさん愛聖にお土産買い込んだな?」
環「ぅす。いつもマリーが王様プリン買ってくれっし、最近元気なさげだったし···こういうの好きそうだから最後に見つけて···あ、でも!最後に買ったからちょっとお金足りなくて」
そうそう。
お土産屋さんで急に大声で僕が呼ばれたと思ったら、そういう話だったんだよね。
でも···僕がお金を払おうとしたら、そこに居合わせた一織くんも。
一「足りない分は逢坂さんと私が出しました。佐伯さんには普段から家事を代わってもらったりしてますから」
環くんは既にいろいろ買ってたから僕が全額出しても良かったんだけど、それは嫌だと言うし。
そしたら居合わせた一織くんが3人で買いましょうと環くんを説得して買ったんだよね。
それにしても···環くんが両手で抱えてあのサイズ感だから、愛聖さんが同じように抱えたらかなりの大きさな気もするけど。
でも、女の子がそういう風にギュッとしてるのって···かわいいよね。
マイクロビーズ···だった、かな?
なんとも言えないモニュモニュとした感触の触り心地で。