第4章 バレンタイン
リヴァイが出て行くのを見届けてから、食堂の女性兵士達はほっと胸をなでおろした。そして、もう誰が見ている訳でもないのに、思わず肩を寄せ合ってヒソヒソと話し始めた。
「ねぇ、今の話聞かれてないよね?」
「うん、大丈夫だと思うっ。兵長に・・・バレンタインのチョコ渡すチャンスだったけどね・・・」
「そうだね・・・でも兵長って甘いもの苦手そうだし、”浮ついたことをしている暇があるなら訓練でもしてろ”って怒りそうだよね」
「うん、何か想像できるよね。それに・・・兵長にはもう絶対的なお相手がいるから・・・」
「私たちじゃ到底太刀打ちできない方がね・・・というか、太刀打ちする気も無いし、なんならさっき私、チョコレート渡しちゃった!」
「えーっ!なにそれずるい!私も渡したい!!」
「じゃあさ、今から探しに行こうよ!」
「班長を!」
「「「おーっ!」」」
年若い女性兵士達は、このような仕事に就いているが、中身は年相応の乙女達なのである。リヴァイが気づきもしないところで、元気いっぱいに青春を謳歌していた。