第3章 半魔
「大丈夫だ、ユリエフ。
少しだけ意識を本に集中させるけど、周りは傷つけないようにするから」
ヒルトは話終えるとすぐに唱え出した
「我が身に宿る五大元素の風よ。
大いなる力を得て、今万物の知識を与えよ。
我が名はヒルト・クローズ。
夢の力を持ち、全ての流れを調律する者ならばーーーー」
演唱と同時に、書斎の中から文字が薄く浮き上がり、ヒルトの目の中に吸い込まれて行く
「なっ?!」
驚くエリンシエは言葉を失っていた
助けた文字は渦を描くように書斎から吸い上げられ
ヒルトの右手や目に直接吸い込まれた
「す、すごい・・」
ユリエフでさえ、唖然としていた
「よし、次だな」
ヒルトはすぐさま隣の本へと手を移動させ、続けて2冊目、3冊目と文字を吸い上げていく
作業し終わった本を開けて中を確認するエリンシエ
だが、本の中はまったく内容は変わらず、傷一つつく事なく、文字も消えてはいなかった
「どうやっているの?
確かに文字を吸い上げているのに・・」
次々と作業を終えるヒルト
最後の本も終えると、風は一気に止み終えた