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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




建国された初日、祝杯をあげていた国の中、アレックスは散策していた
人と獣族が手を取り合い、酒を交わしている
過去、こんな平和な関係が築かれるとは思っていなかった
それでも今、現実になっている
顔見知りの獣族はいなかったが、それでもアレックスは心が満たされていた

「ーーー君がアレックス君かな?」
「!
貴方は確か・・」
「この国で神官を務めるカンスだ」
「これは失礼しました
それで、神官程の方が何故僕に?」
「ホッホッホ
この子がずっと君に渡したいと言ってあったからな」

白髪と立派な髭を生やした白衣の正装をしたカンスの腰から
顔をだしたのはまだ幼い少女だった
「あ、あのっ・・」
恥ずかしそうに照れ隠ししながら
カンスの後ろに隠れる少女を見た時、アレックスは目を丸くした
それは頭に飾っているティアラや上品なドレスを着ていたことで
王族だとわかったからではない
かつて守れなかった妹と同じ髪色にエメラルドグリーンに輝く瞳
小さな手に握られているのは、かつてジュリの得意であった花の冠だった

「こ、これ・・差し上げます
建国を手伝ってくださり、ありがとうございます」
両手で差し出した花の冠を見つめ、アレックスは微笑みながら受け取った
編み方や花の種類など全てがジュリが作っていたものと同じだった
偶然とは思えない
だがそれよりもアレックスは満たされていた
まったく別の存在でありながら幸せな日々を思い起こさせてくれる少女

「ありがとうございます
貴方達のお名前を伺ってもよろしいですか?」
「はい、ジーナです」
「ジーナ様・・
これは大事にさせていただきます」

深く礼をしたアレックス
そしてカンスが前に立ち、アレックスをディオン連邦共和国の兵士として勧誘した
驚きを隠せず、目を見開いたまま再度聞き返す
それでもカンスの言葉は変わらず、アレックスへ入団を進めた
一度は闇に堕ちた身を快く受け入れてくれる国と
魔族として奪ってしまった命への償いをするため、組織の一員になっていた
この時、アレックスの中で多くの考えが過ぎり
すぐには回答せず、組織へ相談することにする
勿論、ヘイデンとユーインは快く見送りはしないだろう
己個人の欲を捨て、同胞の為に尽くす彼等と
失ったものを取り戻したかったアレックスとでは
土台となる志が違っていたのだーーーーー



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