
第9章 ディオン連邦共和王国
豪華なシャンデリアは窓からの光を入れることで輝きながら謁見の間を明るく照らす
赤い絨毯と白いカーテン
部屋の反ドーム状の天井はかなりの高さがあり
それゆえに部屋がとても広く感じるように作られている
円卓の机には書類が山積みになり
その前には頭を抱えている年長者達がいる
部屋の近くで控えていた使用人の水差しは軽く
どれほど競技を重ねて話し合ったかわかるほどだ
1人のメイドが交換用の水差しを持ちに部屋へ入る時のノックオンが
とても激しく感じるほど、空間は静寂に包まれていた
10人程いる年長者達はため息をつき
窓辺に立ち、外を眺めている男へ視線を移す
「フォレスト次期国王陛下、今の話は本気と捉えてもよろしいのでしょうか」
黒いちょび髭を生やし、赤色の軍服の胸には銀色の勲章が3つ飾られ、鋭い目つきで睨むようにして話す
「ーーー本気と捉ってくれ、ジンギス将軍
隣国との和平は破棄し、闘技場のシステムも変更する
そして、俺が王として即位する時、妹のジーナを女王として俺と共にこの国を支えていく
護衛として、アレックスを就かせる」
「お言葉ですが、それをする事で他国から大きく目をつけられます!
第一、ご兄弟で国を治めるなど聞いたことがありませんわ」
「そうです!
懸念点が多すぎます」
長い白髪を丸く束ね、ドレスを着ている女性と
隣に座っていた男がフォレストの発言に大きく反発する
それでもフォレストは表情1つ変えずに振り向き
反発していた者達の後ろに控えていた存在へ目を向ける
「では問いましょうか
今回のカンス神官の裏切りと、国を半壊まで追いやった事件・・
誰のおかげで終止できたのか。
我々人類種だけで対抗できたと思うか?
本来であれば魔族や敵からの襲撃を受けた時、力と財力を持った貴族が立ち上がって対抗すべきだろう
それが今となれば我が身を案じることしかせず、屋敷に籠って出てこようとはしない。
こんな愛国心のカケラもない者達を野放しにしておくほど
私は優しくないぞ」
核心をつくフォレストの言葉に、その場にいた反発者達が口を紡ぐ
そして更に追い討ちをかけるように話し続ける
「ディオン連邦共和国憲法第三条、我が国が致命的な奇襲を受けた時、それに救いの手を差し伸べた者達に財を渡すか
願いを叶えるべし。
この憲法を尊重しての結論ということを、忘れないでいただきたい」
