第6章 パンダと私の青空教室
コテン、と横にいる伊豆くんの肩に頭をあずけた。
「どうした?」と言いつつ、私の手を握ってくれる。
「楽しいね」
「ん?」
「伊豆くんと居ると楽しいよ」
「そうか。オレもだ」
彼の顔を見上げると、満月の光を受けてキラキラ輝いていた。
「伊豆くんはさあ、満月の夜に興奮したりしないの?」
「はあ?」
「オオカミ男だとさ、そういう風になるらしいよ」
「そうなのか…。オオカミ男なんて見たことないな。そんなの本当に居るのか?」
身の程を知らんとはこのことか。自分を何だと思っているのだろう。
「オレは満月とか関係ないな。桃浜がいればいつでも興奮する」
そう言って私の頬に手をかけ、チュウと口付けてきた。
「ちょっと…こんなところで」
私がやんわり拒絶するのを聞かず、彼は私の腰に手を回し抱き寄せた。
キスが口から耳へと移り、温かい舌で舐め上げられ、ゾクリと快感がのぼってくる。
服の中に手が差し込まれた。大きな手に胸をムニムニされる。
「あん…ダメ…。人が来たら、見られちゃう…」
「人間はどうも見られるのを嫌がるな。よくわからん」
伊豆くんは日に日に人間社会のことを覚えていく。でもそれは知識としてわかってるってだけで、感覚的には納得いかない部分もあるらしい。
「別にいいだろ、見られても」
「恥ずかしいってば」
私も口ではこう言っているけれど、ちょっと期待しちゃってるところがある。
いや本当に見られたい訳じゃない。
でも、屋外でこんなことしちゃうなんて。そんな羞恥と罪悪感が、私の体を敏感にするのだ。
私が本気で嫌がっている訳じゃないって、伊豆くんも気づいているらしい。私のパーカーの裾を捲り上げ、胸に舌を這わせた。
「ああん…それ…」
「感じるだろ?」
「うん…」