第7章 ジュエル
「え?あの、俺はただ書類を...」
「書類なんて良いから良いから!
ほら、入った入った」
背中を押され、強引に部屋に入らされる。
「ごめんねぇ、お茶出してあげたいんだけど今金欠でさぁ」
「あの、お構いなく...。
書類届けたら帰るんで」
「えー、帰っちゃうの!
もうちょっと居ようよ」
「でも、キョウカさんが...」
「キョウカ?
キョウカってあのキョウカ?」
「あのって言われても分からないですけど...」
「キョウって言えば分かるかな?
合ってる?」
「はい、そのキョウカさんです」
「ふぅん、珍しいこともあるんだね。
あのキョウカがねぇ...」
「どういうことです?」
「いやね、あの子親しくならないと名前で呼ばれるの嫌がるんだよ。
だからエレン気に入られてるなって思ってさ」
「そうなんですか...?」
それは初耳だ。
遠慮なく呼んじゃってるけど大丈夫なのか?
内心は嫌がってたりしねぇよな?
「大丈夫だいじょーぶ。
あの子嫌なら嫌ってはっきり言うからさ。
言われてないなら嫌われてないよ」
「良かった...」
ホッと息を吐く。
「ところで!」
「は、はい」
また巨人のことか?
と身構えた。
「キョウカは今日出勤しているかい?」
「あ...はい」
「良かった、あとで部屋に寄ろう!
あ、エレン戻る?
じゃあ私もキョウカの部屋に...」