第5章 前夜
「エレン、今夜部屋来る?」
「え?」
俺の聞き間違いか?
「寝れそうにないなら、少しでも寝れればと思って...」
「行きます!」
むしろ違う意味で寝れねぇかもしれないけど。
「じゃあ終わったらこの部屋に来てね。
すぐには仕事終わらないかもだけど...」
「大丈夫です」
「分かった。
ところで、そろそろ戻らないとリヴァイに怒られちゃうけど良いの?」
「え?
あ、戻ります!」
時計を見ると、少しだけ時間を過ぎていた。
やべぇ...。
もう仕事はねぇけど、呼ばれてたんだよな...。
怒られるかな...。
キョウカさんの部屋を出て、急いで兵長の執務室へ向かう。
「すみません、遅くなりました!」
「...あぁ」
遅れて来たのに兵長に怒られなかった...。
なんでだ?
「キョウのところに行ってたのか?」
「えっ...?」
なんでバレた!?
この人はエスパーかなんかか?
「顔にそう書いてある」
ずっと書類に向かってたのに、いつ顔なんて見たんだ?
なんなんだ、この人...。
「マジですか...」
「つーことは聞いたんだろ?
明日キョウが俺達班の補佐をすること」
「はい、聞きました」
「くれぐれも余計な感情は捨てて壁外へ出ろよ。
でないとお前、死ぬぞ」
「は、はい」
「そんだけだ。
もう戻って風呂入ってさっさと寝ろ」
「分かりました。
失礼します」