第2章 兵長同伴初ディナー
「大丈夫ですか?
乗れますか?」
膝をついて屈み、キョウカさんに背を向ける。
「エレンの背中だ」
ギュッ、と後ろから温もりに包まれる。
「ちゃんと乗れました?」
「うん、乗れた」
返事を聞くと、ゆっくり立ち上がる。
「行くぞ」
「はい」
リヴァイ兵長が会計を済ませてくれて、店を出る。
フニュフニュとした柔らかい感触が布越しに背中に伝わる。
感じるな...意識するな...!
そう心の中で何度も呟きながら兵長を後ろを歩く。
「キョウの部屋は知ってるのか?」
「執務室なら...」
「私室まで連れてってやる。
お前はキョウを介抱しろ、明日働けるようにな」
「はい」
兵長のことは未だに分からねぇ。
キョウカさんに対して特別な感情を抱いてるのか、そうじゃねぇのか。
その無表情からは読み取れない。
「言っておくが手は出すんじゃねェぞ」
そんなこと、拷問に等しい。
好きな人が自分の背中で無防備に寝ていて、その柔らかな身体が惜しみなく押しつけられてるんだ。
これを我慢出来る方がどうかしてる。
「...分かってますよ」
すでに熱が集まりつつある自身を睨んだ。
クソ...収まれ...!
「ここがキョウの私室だ。
鍵はそいつを起こして聞け。
俺は帰る」
「はい。
ありがとうございました」