第1章 三角形 case1
頭上から、ケタケタと笑う声が聞こえる。
「お姫様は愛されてるねー。」
更に、ふざけた言葉まで付け足された。
このパターンになると京ちゃんの機嫌が悪くなる。
伺うように、そっと京ちゃんの顔を見た。
少し恥ずかしそうな位で、機嫌が悪いようには見えない。
安心して小さく息を吐いた。
「…じゃ、小熊の王子様は?」
ふざけた会話は続いているようで、黒尾さんの声に反応してそちらを見上げるように視線を移す。
王子様、って事は好きな人…だよね。
いないんだけど。
どう答えれば良いのか迷って。
「…私、次の誕生日で16歳です。結婚出来る年齢になってから、恋愛解禁します。
だから、王子様は、もうちょっとオアズケですね。」
つい、自分の恋愛観を暴露した。
重たいって、分かっているけど、私は一生傍に居てくれる人じゃなきゃ嫌だから、これでいい。
「ふーん?お前って、誕生日いつ?」
「え?…7月、ですね。」
「へー。じゃ、夏休みには恋愛解禁してんだな。」
「…予定、です。そう簡単に彼氏とか出来ると思いませんよ。」
「この流れなんだから、ソコは王子様って言っとけよ。」
黒尾さんは驚いた感じだったけど、重いとは言わず。
いつまで引っ張るんだレベルの設定で会話を続ける。
こうやって話をしている内に、目的であるファミレスに到着した。