第7章 三角形 case4
以来、その人の事が気になる。
単なる悪口とも取れる事を言った人に興味を持つなんて、姫扱いに慣れてたからだ。
ただ私に媚びるように話し掛けてくる男子より、あの人の方がずっと魅力的。
だって、ただ女だからってだけで私を見ている訳じゃないって分かるから。
そんな風に思っても、それを表に出したら私の平和が崩れ去る。
誰にでも笑い掛ける調子の良い女で居ると決めたのは自分自身だ。
特例は作らない。
だから、無かった事にした。
いや、したかった…のに。
あの人は、うちの高校の中で、それなりにハイクラスな部活に入っていたようで。
少し気になり始めたら、簡単に情報が掴めてしまうという、私にとって辛いばかりの状況。
名前、二口堅治。
部活、男子バレーボール部。
この前のインハイが終わった後、主将になったらしい。
その他、身長、体重、好きな食べ物…その他諸々。
ちょっと耳に入る程度の情報を得ると、ついつい他にも色々と知りたくなって調べてしまった結果が、今の状態である。
これ、気になるってレベルじゃなくて、本気で恋に落ちてるんじゃないだろうか…。
誰にでもイイ顔してる、モテ男の真似事をした私じゃない、本当の私を知って欲しいと、思ってしまっていた。