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【忍たま乱太郎】かぐや姫

第7章 狙われたのは


今日はくの一教室で舞踊の授業。先日に続き体験という形で参加させてもらった。

踊るのは元々好きだった。その時だけ世界が止まる気がする。小さな円を描く、ただ自分だけの世界。私が舞うと母上はすごく喜んでくれた。母上に喜んで欲しくて、誉めて欲しくて、私はその世界に生きる喜びを感じたんだ。

お花や舞踊も授業があるんだなと感心すると、ユキちゃんは如何なる場所にも潜入出来るようにと教えてくれた。
くの一は敵地の偵察、調査が任務の多くを占めるというから納得だ。




ランチの時間ユキちゃん達三人が食事している中、食堂のおばちゃんが私に頼み事をしてきた。

「椿ちゃん、悪いんだけどお使い頼まれてくれないかしら?本当は私が行くはずだったんだけど、急に用事ができちゃったのよ。」

お使い…つまり学園の外へ出る。今の私にはとてつもなく荷が重い。だけど、おばちゃんの頼み事を無下に断ることはしたくない。
どうしよう?どうしたらいい?

……

………………

「わかりました。行ってきますね。」

引き受けた。やけになった訳ではない。
自分がどうこうよりも、素直におばちゃんに答えたかったのだ。
すると話を聞いていたユキちゃん達が、私を観察するように見てきた。

「椿さん、まさかその格好で行かないですよね?」
「え、これしか着るもの持ってないんだけど。」
「えぇ!?ダメです!」
「あ、そっか、忍装束で行ったらマズイよね。」

とんちんかんな解答だったのだろうか、三人とも違う!と力を込めて言う。

「お使いでも、折角外へ出るんです。お洒落しないと!」
「…え?」
「私達にお任せください!」
「えぇ!?」

いつかの仙蔵の時のように、今回はユキちゃん達三人に着せ替えさせられることになった。



「ん~まぁいいか。」

完成したのは町娘風の格好。仙蔵にしてもらったような上質な着物ではなかったので、お使いにも行きやすい。
いや、行くことが前提になってしまっている。なんとか上手くやり過ごさなければ。

ユキちゃん達は一緒に行けなくてごめんなさいと、その場で別れた。それでいい。あの子達を巻き込みたくなかった。
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