第4章 インターハイ
荒北がそんな事を考えていた時、沙織はクーラーの効いた巧の車の中で、 気持ち良さそうに眠っていた。
デート中に悪いと思い必死で喋っていたのだが、襲ってくる眠気に耐えらない、そう思っていた時、
「沙織、眠いんでしょ?寝てていいよ」
と巧が言ってくれた。
「うん、ありがとう。じゃあ少しだけ寝かしてもらう」
その巧の言葉に素直に甘えたのだ。
やっぱりこの人には敵わないなぁ。
眩しい光とクーラーの風が心地よく、沙織はすぐに目を閉じた。
「おやすみ、お姫様」
そう言って巧は沙織の頭を撫でた。
眠りに落ちながら沙織には、その手の温もりがやけに優しく微かに悲しげに思えた。
寝顔はまだまだ子供だな、、、
助手席で眠る沙織の顔を横目に車を走らせながら巧は思った。
巧は普段の沙織は巧に合わせて大人びた格好をしていることを知っていた。
沙織は割と綺麗な顔立ちをしていたし、身長もあるのでそういう服装もよく似合った。しかし沙織がそんな格好をしなくても、巧は沙織のことが好きだった。だから油断して幼さが出る寝顔を見るのは巧の楽しみの一つなのだ。
信号待ちで巧は沙織の寝顔を見つめて真剣な面持ちになった。