第1章 春はあけぼの
荒北は自分の席に着く前に、隣の席で突っ伏しているやたら髪色が派手な女子に目をやった。
ア?何だコイツ。
新学年初日の朝から1人で寝ているという事実にも少し驚いたが、その金色の髪が風になびき、なんだか良い匂いだと思った。そして、その派手な髪色はどことなく自分が唯一逆らわない自転車競技部キャプテン福富の髪色を彷彿とさせた。
ま、福チャンは真面目だから、こんな日にそれも朝から寝たりはしないけどナ、、、。
荒北は一瞬そんな事を考えたが、またすぐにいつもの不機嫌に戻り、ガタガタと派手な音を立てて席に着いた。
前の席で喋ってた奴らがその音に驚き、その場から離れる。それを見て荒北は「チッ」と舌打ちをするのだった。