第9章 Sugar9
え、ほんとにする気?
明日、稽古だよ?
腰が・・・。
「痛くなんないようにするから。」
「そんなこと、出来るの?」
「しようと思えば出来る。」
じゃあ、初めからそうしてよ・・・。
「最初はそんな余裕なくて、ただ夢中になってた。お前のこと、考える余裕なんてなかった。」
さっきから、私喋ってないのに、思ってることに対して言葉が返ってくるんだけど・・・エスパーですか?
「お前、顔に出過ぎだから。」
「そんな出てた?」
「うん。」
出してるつもりはなかったんだけどなぁ。
「流司さん、今日はごめんなさい・・・。」
「なんで?」
「なんか、そういう気分になれない・・・。」
いっつも流司さんに触られると、勝手に身体が反応して、したくなるんだけど、今日はなんでだろう・・・したいと思えない。
「そっか。そういう時もあるだろうし、仕方ないよな。」
「ほんとに、ごめんなさい・・・。」
「いいって。でも・・・こう、してたい・・・。」
私の胸に耳を付けて、心臓の音を聞くように目を閉じた。
「うん・・・。」
鼓動が速くなる。
苦しい。
彼が触れたところから、熱を持って熱くなる。
どんなに彼に触れられても慣れることなく、その度にドキドキする。
愛しさが増す。
「心羽、ドキドキしてる・・・。俺にしてるの?」
「流司さん以外、誰がいるの?」
「広大?麻璃央くん?」
「怒るよ。」
彼は根に持つタイプだ。
この状況で、なんで二人が出て来るの。
私の気持ち、まだ信じてないの?
イライラと悲しさが混ざる。
「冗談だって。お前は俺が大好きだもん。」
「そうだよ。流司さんは?」
「どうだと思う?」
素直に言ってよ・・・。
彼らしいけど・・・。
「私のこと大好きでしょ?嫌いになって欲しくないんでしょ?」
「調子乗んなよ。」
じゃあ、言ってよ・・・大好きだって・・・。
貴方の言葉で、聞きたいんだよ・・・。
どんな時だって・・・何回でも・・・。
「もう流司さんなんか、知らない。」
ぷいっと斜め上を向いて、彼から顔を背ける。
テーブルの上に置いてある携帯を取って、弄る。
私なりの反撃。
早く、大好きって言って・・・。