第1章 砂漠の月00~70
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月子ちゃんが熱を出して休んでしまった。
昨日の今日で何があったんだろう?そう考えれば昨日の元就の告白が脳裏に蘇って、ああああ、自爆した。
「市、」
聞こえた声に振り向けば、複雑そうな顔の雹牙の顔で
どうしたの?と首を傾げれば珍しく生徒の前で頭撫でるんだもの、凄い注目浴びてますよ。
「小野は風邪で休みだ」
「え、そうなの?」
そんなまさか、昨日元気だったよね。早退してお見舞いに行くかな。
そう思ってたらぼすぼすと雹牙に頭を撫でられてて
「お前等は?早退するか?」
「ああ、そうする」
「フン」
ならば3人は早退させると何かに書いてるけど、教師が早退するかとか今まで聞いて来なかったからびっくり
"お兄さん"は相変わらず気が利くなと呆けている陰で
雹牙と元就が水面下で睨み合いしてたとか全然気づかなかったけど。
小野邸に、一旦家で着替えて3人で集まって。呼び鈴を鳴らすと兄さまが派遣したお手伝いさんが顔を出す
「姫様、月子様のお見舞いですか?あら、元就様、晴久様」
「あんた、会った事あるな」
あー、この方。前世で偶にお世話してくれたくのいちさん。
勝気で黒羽や雹牙の信頼もあった方だ、最近見ないと思ったらここに居たんだ
「どうぞ、月子様はお部屋で休まれてます。良ければ姫様、こちらもついでに持ってって頂いても?」
「うん、持ってく」
持って行こうとしてたのか、手作りのプリンを受け取り
二階に上がると一階から何か言い合う声?
「あの女がここにおれば月子に被害は及ぶまい」
「ああ」
「市、来ない方が良かったかな」
「月子が寂しがる、市は来てくれた方が良い」
「うん」