第1章 砂漠の月00~70
触れた指先を握ると引っ張られる感覚に晴久が驚いたように振り返る。
「あ……と、ご、ごめんなさい、私……」
晴久の振り返った先には無意識の行動だったらしく自分でも驚き戸惑う月子が居た。
慌てて何でもないと言おうとする月子にフッと表情を緩めた晴久がチェアの端に座り直すと月子の手を軽く握ってきた。
月子は予想外のことに驚きと羞恥と、それ以上の安堵を感じて自分からも控えめに握り返すと反対の手で撫でられて今度こそ目を閉じる。
直ぐに襲ってきた睡魔に、あと少しだけ離さないで欲しいと願い握る手の強さを強めながら月子は眠りに落ちた。