第18章 絶対安静
フィン「ケイト…」ぎゅうっ
自然と涙が溢れ、ケイトの頬へ涙が落ちていった。
誰に対しても打ち明ける気さえも起こらず、今までに話にも出したことさえもなかった過去。
それを打ち明けた今、それごと『自分』という存在を受け入れてもらった今…喜びと嬉しさばかりが胸を占めていた。
君と出会えたこと…それは君の温かさと純粋さを、身を持って知ったこと。
捨てたものじゃないのだと、身を持って教えてくれた。
両親と同じように君は逃げず、懸命に強大な敵に立ち向かい街の人達を守った。己を全てを賭して護り抜いた。
たとえその人達から拒絶され、護り続ける中で傷付けられようとも…←43,275ページ参照
あまつさえ希望も純粋さも捨てず、真っ直ぐに向き合ってくれた。
僕自身を愛してくれた。護ってくれた。
だからこそ、君を伴侶にと考えた僕の考えは間違ってはいなかったと思った。
それと同時に…失いかけた哀しみや絶望に、両親を失った時と同じように潰されかけた。
僕の気持ちに寄り添い、君は何よりも尊重してくれた。
愛してくれた。護り抜く為に奔走してくれた。
槍でも防げなかった攻撃から、身をもって護ってくれた。←507ページ参照
その身に傷を負ってもなお責めず、激励を飛ばしてくれた。←508,528ページ参照
何より…知った後もなお、変わらず『フィン』と呼んでくれた。
生涯を通して今まで貫き続けてきた覚悟を汲み取ってくれただけでなく、信じて突き進めとまで言ってくれた。
唯一僕の持つ過去を知り、その上で応援してくれる特別な人となった。
フィン「僕は…小人族にとっての『光』となりたかった。
フィアナと同じように、希望を見いだせたかった。
でも…僕にとっての希望は、君なんだよ」なでなで
ケイト「すーすー」
頭を撫でる中、穏やかに寝息を立てるケイトを前に、僕は再び強く抱き締めた。
フィン「ケイト…君は、何があっても護り抜いてみせる。
たとえ、何を犠牲にしたとしても(真剣)
君がしてくれたように…君の盾となり、槍となろう」
ケイト「重い!!」
フィン「ビクッ!!)!?;」
ケイト「んんんん;(身じろぎ)
すーすー;」
?魘されている?
あ…
その時に気付いた。
僕の全体重が、ケイトの左腕の上のみにかかっていたことを。