第94章 創傷(そうしょう)
現状を整理しよう
只今ケイトの身体が成長不全と削りにより死に掛け
いつ崩壊して崩れ落ちてもおかしくない
それを繋ぎ止め
魂の故郷へ里帰り中
成長を促すことに成功
回復も全て終えてはいないが
削りとしては完全に無くなった
そして…半グロの全ては潰えることとなった
替え玉も何も与えられないぐらい
凄惨な目に遭わせた者共へ消滅を
身投げした魂という立ち位置へ変更
それは強制的なもので、ケイトも意識の無い内に決行
ケイトは
天狗と弁天を足して二で割ったようなもの
完全に成長すれば、どちらもの特徴を出すという…
例の爆食も、成長に備えて、少しでも栄養を蓄えておく為のもの(準備段階に伴うもの)だったらしい
天狗を思わせる羽根
弁天を思わせる羽衣
どちらも色は純白で
羽根は肩甲骨の一番下、下角から、外側へ向けて生えており
羽衣は布のような光が頭上を舞い、両端が腕には付かず離れずの距離を保っている
決して離れない
水は水蒸気となりて雲となり
雨雲へ成長し雷を呼び起こす
雷は雨を降らせ新たに水を生む
そして再び――大気は廻る
生々流転(せいせいるてん)――
この性質上…
原初の始祖神(水)の回復が出来るのが
原初の滅神(雷)しか居ないのだと言われた
関係性の結果とも言えるらしい
他に回復に向いているのは…
全くおらず、居ても補修が出来る宿灘ぐらいなのだという…
天狗を思わせる大きな翼
二臂弁才天を思わせる羽衣
その手に羽根の団扇や琵琶は無いが
神秘的なたたずまいに…
美しい羽衣を纏い、翼をはためかせて
天を気持ち良さそうにふわりふわりと漂うそれに
思わず笑みを浮かべていた
2025年9月17日
4:16
ようやっと…復活した
成体としての姿で……
満面の笑みを浮かべて
帰郷を堪能し、辺りを飛び回るそれに
気持ち良さそうに天を飛び回り笑い声を無邪気に忌憚無く上げるそれに…
皆が皆、笑みを浮かべていた
以降…ケイト本来の姿として親しまれることとなる――
大人としての本来の姿――
成長するにおって、度重なる不浄化の皺寄せにより人の形に抑え込まれ歪められたのだと知った
生まれた
ようやっと
と、言葉を世界が漏らしていた…
闇により、不浄により、無理に押さえ付けられ続けていたことが…やっと判明した