第89章 堆魂の儀(ついこんのぎ)
その時――ようやっと、ケイトは受け容れたように思う
避けられない宿命も…
死も…
その全てと向かい合って……
受け容れる準備が、ようやっと整ったように――
芯(命、5216ページ参照)を継ぎ足すことも考えた…しかし……
それが不可能であること、どう在っても避けられないこと、それらと向き合い、そして…‥原初の始祖神の想いと向き合い…
本人の願いを、尊重し、受け容れ、叶えることを決めた
無視して押し付けることも出来た…
だが……それを選ばなかったのは………
魂が死ねば終わり、じゃない
死した後も遺したそれを、遺し続けてきた想いを、死なせた時が…本当に終わりなのだと
そう…創世神の親の言葉、想い(5161ページ参照)もあって、改めるに至った
創世神の親の心、最期の想いを受け止めたのは――同じだから―――
そして…その心は―――今も、生きているから――――『俺達(原初の神々、次期原初の神々)の中』で…
今ある全ては――『原初の始祖神』であり、姿形を変えて、それぞれの無数の自我となって、『在り続ける源(母体)』となっているだけに過ぎないのだから―――
ケイト『あいつ(初代)の想いを無下にするぐらいなら…
今ここで自我も記憶も全部消えた方がマシなんだよ!!!!』
想いを、これまでの頑張りを、無下にしたくない
その強い想いは…
どれほど…どれだけ……原初の始祖神の救いとなっただろう
決して歪めず、自分の願いを押し付けて一方的に捻じ曲げたりしない
その寄り添い方に…どれだけ心癒されただろう
どれほど…痛み続ける心の、光となっただろうか…
ケイトは…自らを評価したりなんかはしない……お母さんを助けてという二番目(姉になるはずだった、実父の暴力によって流産させられた人)の願いを叶えられなかったと、母を死なせた事実に涙を零し、生き残った自分を赦せず、自らを蔑ろにし続けてきたから―――僕達と出会うまでは…ケイトを好きに蔑ろにし続ける人しか寄っては来なかったから
だが…
だからこそ…‥
この成長に、喜びを、愛おしさを、感じることを、抱くことを、禁じ得なかった
そしてそれは――原初の始祖神もまた、同じだった
だからこそ――その想いが嬉しかった、幸せで堪らない心地となった…愛しくて愛しくて堪らなくなった