第82章 光芒(こうぼう)
涙が次々に流れ落ち、よだれが力なく口端から零れ落ちた状態のまま
額に刻み込まれたそれが、静かに見えなくなった
すっ
再び手袋をはめた後に、懐中時計を取り出して手に取り見やる
男「さて…起きろ!」ぱあんっ!←手拍子をする
ケイト「はっ!)
なん…で?」
男「にや)
言っただろう?
脳波をどうすると言った?」微笑コツコツ←自らの首に指先を当てる
ケイト「まさ…か」わなわな
男「にやり)
察しがいいな…
強制的に起こせるんだよ
脳波を測定し、それを通してな…
電流で強制的に!」
ケイト「っ………」ギリッ
男「これで頼み事は聞いた」
ケイト「なっ!!」
男「言ったはずだ…頼み事は一度きりだと」
ケイト「!!(瞠目)
しまっ」
男「お前は、やれ、と言った
私はその頼みを聞いた
残念だったな
折角の機会を自ら不意にしてしまって」
ケイト「っ…(歯噛み震)
ちく…しょお」震
拳を握り締めて震えを止められない中…
男「水でも飲め」
ぽいっ
500mlの水の入ったペッドボトルを投げ渡してきた
ケイト「っ!!」
その衝撃だけでも、かなりの痛みを発し、瞑目し顔を歪めた
それを再び手から奪い取られた
男「安心しろ(すっ)
毒は入っていない」ぷしゅっ
ぐいっ、ごくっ
同じペッドボトルの水を飲んで、再び今度は手渡そうとしてきた
男「飲むなら今の内だぞ?
私がいなくなれば呼吸抑制装置が働く」コツ←ケイトの首輪を指でつつく
ケイト「!!」
すっ←震えた両手で取ろうとするも
すかっ←上に持ち上げられる
俺「返事は?」
ケイト「…下さい
……お願いしますっ」
男「ん…よろしい」
すっ
今度は投げ渡さず、直接手渡してくれた
男「口の聞き方がわかってきたな
よく覚えておけ」
ケイト「ごくっごくっ)
おも…いっ」
男「力が入らんだろう?
両手でしか持てんはずだ
それもまた、本来の毒の力
脱力感も常について回ると思え
それで一本分だ
動くに動けんだろうがな
身を起こすのも儘ならん」
ケイト「っ
く、そ」
男「魔力も決して通さん
本来ならばお前の邪気を基に効果が増強されるはずだが…
なるほど、強力な秘術だな…
だが…甘い」
こおん
パリィンッ
ケイト「!」瞠目
何かが砕け散る音と共に、痛みと脱力感が増し始めた