第80章 願い
神国コクーンでの、市民カードの決まり
それが再生医療についての同意だ
本人の同意さえあれば、生命維持の為に即座に再生医療で全く同じ体を創られ、治療にあてられるようになっている
要は自家移植という訳だ
拒絶反応も無く、即座に対応可能な為、推奨されている件でもある
市民カードに登録された市民、その中でも同意を得ているもののみに与えられる『緊急時の補填』として、国の義務として課せられてもいる
要はタダだ
と、皆が出るまでに急ごしらえで作られた決まり、その概要を粗方伝えた
と言っても…
既に小狼達は皆知っているし、侑子と話し合った時の晩に既にお願いしていた
勿論、皆から同意を得ていたから…今、目の前の光景が現実となっている
ケイト「お前達が望むのは、それではないんだろう?」
こっくり
その問いに、深く頷いた
水の入った透明なカプセルの中に浮かぶ小狼とサクラに、真っ直ぐ目を向けたまま……こちらを見ずに
ケイト「……‥
対価は…後でいい」こおおっ
純白の力が迸り、衝撃波を全身に程近い部分のみに抑えて留め、身に纏う
シロウが激しく揺れる中、小狼とサクラに各々掌を向けた
小狼に左手をかざし、サクラに右手をかざす
モコナ「どうするの!?」
ケイト「神の力を使う!
お前達が共に存在出来る世界…それは、俺の願いでもあるから!!」ぼおっ!!←虹彩と瞳孔が光る
白目でない部分のみが力強く光る
魂の力が…全てが、額ではなく、そこに収束しているのを肌で感じる
シロウを通じて、完全に制御出来ているのを感じた
荒ぶる髪、激しく波打つローブ…それらが力の迸りを物語っていた
写し身の小狼とサクラを純白の光で包み込み、掌上の球状に変えた
そして――魔力を注ぎ込む機能を付け加えた
ケイト「各々…小狼と桜で、魔力を注ぎ込んでくれ
それを元に…生きた体に作り替える仕様にした
私がしたのは…それだけだ
お前らに振り掛かる対価も、こちらに振り掛かる対価も…随分と減ったはずだ…
その間…無防備になる」
モコナ「わかった!
つまり、2人を守ってってことだよね?」
ケイト「そうだ…」
桜「わかった」頷き微笑
ケイト「3人から貰う対価はそれとして、小狼と桜から貰う対価は…時間と自由だな
ずっと注ぎ続けなければいけなくなる」